はじまりは政略結婚
直接対決。黒幕は……。
あれから一週間、不気味なくらいに何も変化がない。

海里からの連絡もないし、週刊誌で報道される感じもなかった。

智紀も、桜さんに会いに行った日に見かけて以来、その姿を見ることがない。

それがどんなに切ないか、時間を追うごとに分かってきた。

「由香、せっかくの休みなんだし、何か食べに行こうか? お前、少し痩せたろ?」

部屋に閉じこもって、何をするでもない私に、兄が心配そうに声をかけてきた。

「いい……。食欲ないし」

智紀に会えないことが、こんなに気力を失うことになるなんて、ほんの少し前の私が聞いたら驚きの声を上げるだろうな。

だけど、それが事実なのだから仕方ない。

仕事はなんとかやりこなしてきたけど、それ以外はまったく何もする気が起きないのだ。

「そうは言っても由香、最近まともに食べてないじゃないか」

私の目の前に膝立ちした兄は、眉を寄せて険しい顔を向けた。
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