はじまりは政略結婚
じゃあ、私と付き合っている頃と重なる。
あの頃、お母さんに会わせてくれなかったのは、それができないことだったからだと、ようやく分かった。
「だけど、どうしてそれを智紀が知ってるの? まさか、そんなことも調べられるの?」
反射的に嫌悪感を覚えた私は、智紀に聞かずにはいられなかった。
そしてそれに気づいたらしい彼は、慌てて弁解した。
「いや、たまたまその情報にたどり着いたんだ。みんなが知ってる話じゃないし、オレを逆恨みする気持ちも分かるっていうのが言いたかっただけで……」
「それって、海里が施設育ちだから?」
「違う、そうじゃない。よほど、オレが嫌みに見えたんだろうなってことで……」
普段の智紀とは違って、かなりしどろもどろだ。
「だから、そういうのが上から目線じゃないの?」
詰め寄る私に、智紀は困った顔をした。
「そうじゃないよ。海里の生い立ちからして、素直になれない性格だったんだろうなとも思ったんだ。だから、由香があいつとの辛い過去を、少しでもいいものに変えられたらいいなと思ったんだよ。本当に言いたかったのは、それだ」
あの頃、お母さんに会わせてくれなかったのは、それができないことだったからだと、ようやく分かった。
「だけど、どうしてそれを智紀が知ってるの? まさか、そんなことも調べられるの?」
反射的に嫌悪感を覚えた私は、智紀に聞かずにはいられなかった。
そしてそれに気づいたらしい彼は、慌てて弁解した。
「いや、たまたまその情報にたどり着いたんだ。みんなが知ってる話じゃないし、オレを逆恨みする気持ちも分かるっていうのが言いたかっただけで……」
「それって、海里が施設育ちだから?」
「違う、そうじゃない。よほど、オレが嫌みに見えたんだろうなってことで……」
普段の智紀とは違って、かなりしどろもどろだ。
「だから、そういうのが上から目線じゃないの?」
詰め寄る私に、智紀は困った顔をした。
「そうじゃないよ。海里の生い立ちからして、素直になれない性格だったんだろうなとも思ったんだ。だから、由香があいつとの辛い過去を、少しでもいいものに変えられたらいいなと思ったんだよ。本当に言いたかったのは、それだ」