はじまりは政略結婚
さすがに、ちょっとひどかったかも……。

後悔先に立たずで、彼が出て行ってから自己嫌悪に陥る。

だけど、海里の家庭事情を初めて知って、少し混乱気味だった。

それに、そんなプライバシーを智紀が簡単に知ってしまえるのも抵抗を感じる。

「私が世間知らずなだけなのかなぁ……」

『社長令嬢』とはいえ、会社の経営に携わっているのは兄で、私ではない。

企業の裏の面も、分かっていたつもりで、全然分かっていなかったのかもしれない。

心の引っかかりを感じながら、いつも通りに出勤すると、始業前の束の間の時間、竹内さんが週刊誌を持ってやってきた。

「ねえ、見てよ。これ、海里の記事なんだけど、ちょっとショックじゃない?」

「え?」

しかめっ面の彼女が見せてくれたのは、智紀と今朝話したばかりの海里の生い立ちの内容だった。
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