はじまりは政略結婚
「これ……、なんでこんな記事が?」

呆然とする私に、竹内さんは声をひそめた。

「私、海里が施設育ちだったのはショックだけど、この記事って悪意あるよね?
誰かが、足を引っ張ってるみたいで感じ悪い」

「どういう意味ですか?」

足を引っ張るだなんて、聞き捨てならない。

海里も智紀を陥し入れようとしたけど、自分ではどうしようもない過去をネタにされるのは卑怯な気がする。

「だって、海里は久しぶりの日本で、復帰しようとしてるのよ? 俳優にも挑戦しようとしてるのに、こんなのただのイメージダウンじゃない」

たしかに、そうだ。

恋愛ネタのスクープとかなら理解もできるけど、生い立ちなんて報道する必要なんてないはずだ。

「怖い世界よね。ネックレスのことといい、海里のイメージダウンは避けられないよ」

竹内さんは週刊誌を閉じると、ガックリとデスクへ戻っていった。
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