はじまりは政略結婚
次の朝、どうしても智紀より早く起きていたくて、低血圧の体を無理やり起こしたけど、彼はもう出勤していた。

「いつもより、早いじゃない……」

もしかしたら、謝れるキッカケが見つかるかもしれないと思ったのに、いつも通りに朝ごはんが用意されていて、智紀の姿はなかった。

クラクラする頭に手を当て、ため息まじりにダイニングチェアに座る。

「本当、どうしよう……」

このまま、信頼関係が壊れてしまうの?

ようやく、プロポーズの返事ができたというのに。

だけど、今朝もこうやって朝ごはんの準備をしてくれていて、その優しさに胸が締め付けられた。

「やっぱり、早く謝ろう」

今夜は智紀が帰ってくるまで、起きて待っていよう。

そう決めた瞬間、スマホにメールがきた。

朝早くから誰だろと確認すると、それは海里からだった。
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