はじまりは政略結婚
海里の歪んだ愛情
六階に着くと、そこはテレビ局とは思えないほど静かで、場所を間違えたんじゃないかと思ったくらいだった。
「誰もいないのかな……」
控え室ばかりのフロアも静かだけど、時々スタッフの人を見かけることがある。
だけどここは、本当に誰もいないみたいだ。
海里に言われるまま来たけど、もしかしてやめた方が良かったのか。
そんなことを考えながら、とりあえずスタジオの鉄扉を開ける。
重くて両手でやっとの思いで押し開けると、そこにはすでに海里がいたのだった。
広くて何もない殺風景な部屋は、空気がヒンヤリとして冷たい。
中心にだけ電気がついていて、その下にシャツにチノパン姿の彼が立っていた。
そして私を見ると、小さな笑みを浮かべたのだった。
「よお、由香。ちゃんと来てくれて嬉しいよ。それにしても、お前の婚約者はすごいな。ネガをやすやすと奪って」
「やっぱり、知ってたのね。ねえ、海里。もうバカなことを考えるのはやめて」
余裕な海里とは反対に、私は表情が硬いままだ。
「誰もいないのかな……」
控え室ばかりのフロアも静かだけど、時々スタッフの人を見かけることがある。
だけどここは、本当に誰もいないみたいだ。
海里に言われるまま来たけど、もしかしてやめた方が良かったのか。
そんなことを考えながら、とりあえずスタジオの鉄扉を開ける。
重くて両手でやっとの思いで押し開けると、そこにはすでに海里がいたのだった。
広くて何もない殺風景な部屋は、空気がヒンヤリとして冷たい。
中心にだけ電気がついていて、その下にシャツにチノパン姿の彼が立っていた。
そして私を見ると、小さな笑みを浮かべたのだった。
「よお、由香。ちゃんと来てくれて嬉しいよ。それにしても、お前の婚約者はすごいな。ネガをやすやすと奪って」
「やっぱり、知ってたのね。ねえ、海里。もうバカなことを考えるのはやめて」
余裕な海里とは反対に、私は表情が硬いままだ。