はじまりは政略結婚
「バカなこと? 最初から、バカなことなんて考えてないけどな。あーあ、それにしても里奈のやつ、簡単に裏切るから萎えるよ」

わざとらしいため息をつき、海里は少し私に近づいた。

「裏切るって、最初から間違ってたことじゃない。里奈さんは、それに気づいただけよ」

「本当、きれいごとが多いな。恵まれたやつは、覚悟が中途半端なんだよ」

それはもしかして、週刊誌のことを言っているのか……。

『恵まれたやつ』という言葉が、引っかかった。

「見たんだろ? 今日の週刊誌。人の過去がカネになるんだから、世の中腐ってるよな」

「海里……。あの記事、今日まで週刊誌に載ることは知らなかったの?」

自暴自棄気味な彼の口調に、こちらの緊張もより高まってくる。

「当たり前だろ、そんなもの。これで、オレの周りに味方なんていない、それを思い知らされた気がするよ。嶋谷、あいつだけは絶対に許さない」
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