はじまりは政略結婚
「オレは、嶋谷の局で仕事はしたくない。だけど、中立の立場の番組には出ていかないと、うちの事務所は本当に傾くんだ」
じりじりと、海里は私に近づいてくる。
その真顔が怖くて後ずさりをすると、壁際まで追い込まれた。
「挙句、由香と結婚してファッション誌にまで手を広げようとする。オレの原点すら、あいつは奪おうとするんだ。由香くらい、取り返したっていいだろ?」
「えっ? 海里、何をするの?」
これ以上逃げられないように、海里は両手を壁についた。
「ペアリングを捨てられなかったのは、お前を忘れられなかったから。由香を傷つける言動をしたことは、本当に謝るよ。だけど、今でも好きなんだ。由香、あいつと結婚なんてするなよ」
顔を近づけてくる海里に、必死でその体を押し返す。
キスをされそうになったのが分かり、恐怖心が大きくなっていった。
「やめてよ、海里。大声、出すわよ」
精一杯の強がりを見せた私に、海里はニヤッとしたのだった。
「無駄だよ。ここは、音楽番組専用のスタジオなんだ。防音装置は抜群として、業界では有名な場所だから。由香の声なんて、外には聞こえないさ」
じりじりと、海里は私に近づいてくる。
その真顔が怖くて後ずさりをすると、壁際まで追い込まれた。
「挙句、由香と結婚してファッション誌にまで手を広げようとする。オレの原点すら、あいつは奪おうとするんだ。由香くらい、取り返したっていいだろ?」
「えっ? 海里、何をするの?」
これ以上逃げられないように、海里は両手を壁についた。
「ペアリングを捨てられなかったのは、お前を忘れられなかったから。由香を傷つける言動をしたことは、本当に謝るよ。だけど、今でも好きなんだ。由香、あいつと結婚なんてするなよ」
顔を近づけてくる海里に、必死でその体を押し返す。
キスをされそうになったのが分かり、恐怖心が大きくなっていった。
「やめてよ、海里。大声、出すわよ」
精一杯の強がりを見せた私に、海里はニヤッとしたのだった。
「無駄だよ。ここは、音楽番組専用のスタジオなんだ。防音装置は抜群として、業界では有名な場所だから。由香の声なんて、外には聞こえないさ」