はじまりは政略結婚
「もしかして、最初からそれを想定して、ここへ私を呼んだの?」

「ああ。本当、無防備だよな。だけど、別にいいだろ? 付き合っていた頃は、オレに抱かれてたじゃないか。あの頃を思い出してくれたら、いいんだよ」

絶句する私の隙をつくように、海里は両手首を掴むと、その場へ座り込ませた。

そして、強引に押し倒したのだった。

「やだ! やめてよ、海里!」

思いのほか力強く掴まれて、抵抗しても海里はビクともしない。

それどころか、片手で私の手首を掴み直すと、もう片方の手で服を脱がし始めたのだった。

「やめてってば! 私はもう、海里を好きじゃないのよ! 本当にやめて!」

「何でだよ! なんで、由香までオレを拒むんだ? 母さんといい、なんで誰もオレを愛してくれないんだよ!」

「お母さん……?」

やっぱり、過去のトラウマがストレスになってるんだ。

それは理解できるけど、だからって襲われる理由にはならない。
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