はじまりは政略結婚
すると、智紀はエレベーターに乗り込みながら、顔を赤らめている。
「そういうのは、帰ってから言ってくれよ。ここじゃ、由香をゆっくり抱きしめることもできない」
「え? やだ、何言ってるのよ……」
智紀が照れるから、こっちまで恥ずかしくなってくる。
彼をまともに見れない間にも、エレベーターは地下駐車場へ着いたのだった。
「不器用なだけ、だったんだろうけどな……」
「え? 何のこと?」
ポツリと呟いた智紀に、反射的に聞き返す。
「海里だよ。由香を本当に好きだったことは、間違いなかったと思う。実の母親に過去を売られて、かなり自暴自棄になったんだろうな」
「うん……。私もそう思う」
車に乗りシートベルトを締めると、それを確認した智紀がアクセルを踏んだ。
「だからせめて、由香を取り戻したかった。男として、気持ちが分からなくはないけど、こればかりは譲れないな」
「そういうのは、帰ってから言ってくれよ。ここじゃ、由香をゆっくり抱きしめることもできない」
「え? やだ、何言ってるのよ……」
智紀が照れるから、こっちまで恥ずかしくなってくる。
彼をまともに見れない間にも、エレベーターは地下駐車場へ着いたのだった。
「不器用なだけ、だったんだろうけどな……」
「え? 何のこと?」
ポツリと呟いた智紀に、反射的に聞き返す。
「海里だよ。由香を本当に好きだったことは、間違いなかったと思う。実の母親に過去を売られて、かなり自暴自棄になったんだろうな」
「うん……。私もそう思う」
車に乗りシートベルトを締めると、それを確認した智紀がアクセルを踏んだ。
「だからせめて、由香を取り戻したかった。男として、気持ちが分からなくはないけど、こればかりは譲れないな」