はじまりは政略結婚
そこにはニページにわたり、『イケメンツートップ御曹司の結婚‼︎ あなたはショック?』と大きな字で書かれていた。

「イケメンツートップって……。私、このミーハーな感じが、あまり好きじゃないけど」

きっと智紀は、私たちの結婚が取り沙汰されて楽しいに違いない。

だけど、どこか下世話な表現に、私は顔をしかめた。

「そうか? オレは面白いと思うけどな。それより、気付かないか? この記事……」

と智紀が言ったところで、インターホンが鳴った。

「お兄ちゃんたちじゃない?」

立ち上がりモニターを確認すると、兄と涼子さんの姿が見える。

今日は、ふたりが来ることになっているのだ。

「ああ、もう約束の時間か。仕方ない、直接聞いた方がいいもんな」

週刊誌を閉じた智紀は、オートロックを解除した。

そういえばあの週刊誌、来週発売のものだった。

なんで、そんなものを持っているのだろう……。
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