はじまりは政略結婚
さっきは夢中で気が付かなかったけど、智紀は髪が少し長めだから、こんな風に頭を下げると顔にかかっている。

普段はライオンのたてがみヘアで目立たない長さが、今は妙に色っぽく写った。

お風呂上がりのオールバックも好きだけど、さらさらと流れるこのスタイルも好き………。

「アピールしておかないと、由香が誤解したままだろ? それに、これから一緒にいれば、それを分かってもらえると思う」

「智紀……」

どうしてそこまで私を求めてくれるのか分からないけど、それも少しずつ見えてくるのかな……。

「だから、オレと一緒にいよう」

ゆっくり智紀が唇を重ねてきて目を閉じると、私は二度目の甘くも激しい夜へ落ちていったのだった。
< 85 / 360 >

この作品をシェア

pagetop