はじまりは政略結婚
至近距離に彼女の顔があり、思わず体をそらしていた。

「私がですか⁉︎ 全然、自信がないですけど……」

「なんで自信がないかな? もっと、自分をよく見なよ。由香ちゃんて、目はクリッとしてるし、唇はボテッとして可愛いし」

竹内さんは少し離れると、私を見てニッとした。

「せっかくだから、涼子さんとかに相談出来ないの? いいアドバイスくれそうじゃない?」

「涼子さん……?」

そう言われたら、身近にとても頼りになる人がいる。

智紀とも仲がいいし、何より私よりもよく彼を知っているはずだ。

「そうよ、涼子さん。由香ちゃんだったら、会おうと思えば会えるんじゃないの?」

「涼子さんですか……」

少しの間考えてから、私の今日の仕事終わりのスケジュールは決まったのだった。

涼子さんに会いに行ってみよう。
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