はじまりは政略結婚
「由香ちゃん、いらっしゃい。今日は祐也はいないのよ、ごめんね」

相変わらず優しい笑顔の涼子さんは、私をソファーに促してくれた。

「いえ、その方がかえって良かったです。今日は涼子さんに話を聞いて欲しくて……。お仕事大丈夫ですか?」

ローズティーを出してくれた彼女は、私の隣に落ち着いた。

それにしても、カップも品のある小花柄で涼子さんらしい。

「空きがあるから大丈夫よ。それより
話って?」

「実は……。うまく言えないんですけど、私と智紀って釣り合うと思いますか?」

自信なさげに問いかけると、涼子さんは目を丸くしてキョトンとした。

「えっと、それはどういう意味でかな?」

さっきまでの笑顔はどこへいったか、彼女の表情は困惑している。

「見た目とか、雰囲気とか……。私、まだよく分からないんです。智紀を本当に好きなのかとか。いろいろ気になることはあるのに」

まとまらない気持ちに自己嫌悪を感じつつ俯くと、涼子さんはそっと私の両手を包み込んだ。
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