はじまりは政略結婚
ライバル?の登場⁉︎
協力してくれるっていうのは、どういう意味でだろう。

それを聞きたかったけど、そのノック音で話は途切れてしまった。

「あ、はーい。由香ちゃん、きっと智紀よ」

囁きながらウィンクをした涼子さんは、ドアに颯爽と向かう。

智紀が来る予定だったっと知って、違う緊張感が走った。

なぜなら今日ここへ来ることは言ってないし、なんで来たのか追求されたら困る。

一人青ざめながらドアに視線を向けていると、言葉通り智紀の姿が見えた。

「由香⁉︎ お前、どうしてここにいるんだよ」

さっそく私を見つけた彼は、案の定目を丸くしている。

別に悪いことをしているわけじゃないけど、なぜかとても気まずい。

私は引きつった笑いを浮かべて、ソファーから立ち上がる。

「ちょっと会いに来ただけなの。もう帰るから。二人は仕事?」

半ば強引に部屋を出ようとして、ほとんど二人を押しのける。

そんな私を涼子さんは苦笑いで見ていて、智紀は怪訝な顔をした。

「オレたちは、スケジュール確認をするだけなんだけど……」

「ああ、そうなんだ。じゃあ、ごゆっくり。さようなら」

見事な作り笑いを浮かべて、私は部屋を出たのだった。
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