春のバス停と大先輩
入院中は、何も食べさせてもらえず、栄養注入の為の点滴を腕にさしていたわ。


何にもすることがなくて、病院の真っ白なベッドで、ぼー--…っと過ごしてるうちに、私は心まで白けてきたようだったの。


その白はひどく空しい色でねぇ…。



百合や夫はほとんど毎日お見舞いに来てくれていたわ。


それでも私の心は白かったの。



変よね。


百合が生まれたときは、白百合がとてもきれいだと思ったのに、入院してからは病院の白さが私の心を空虚なものにしていたのよ。
< 16 / 22 >

この作品をシェア

pagetop