神魔妖幻想曲 ー 斬呪 ー

しゅんとするリーシャを見かねたユウヤは壁から背を離し、先程まで黒づくめが座っていたソファーに腰をおろした。



「リーシャ、" あいつ "はああいう性格なんだ。むしろ今のはまだいい方だからな?」


「そうそーっ、" あの子 "の機嫌悪くなるともっと酷くなるしいー?

ああでも、気に入った依頼主だけは絶対に傷つけないからね、" あの子 "は」



いつの間にか紅茶を飲んでいたナルミはソファーに座らず、床に腰を下ろしたままだ。



「ところでさあ、さっきなんて言おうとしたの? リーシャちゃんはあー?」


「ああ、それは俺も気になったな。ほら、『外に出たら目立ちますよ。それに、』……それに、なんて言おうとしたんだ?」


「あう……えと、それは、」



口ごもるリーシャ。

その様子にユウヤは「正直に言っていいんだぞ?怒らないって」と微笑みかける。

リーシャはその笑顔に赤面しつつも、おずおずと口を開いた。



「その……実は巷でこんな噂があるんです……。


『【斬呪の忌み子】に気をつけろ。街の外れにある古屋敷、あそこに絶対近づくな。
呪い子どもに、殺られるぞ』……


みんな会ったこともないくせに、ありもしない噂をたてて……。誰がその噂を流したかは知りませんが、私はあなたたちがそんな人だとは思いません」


「それは……実際俺らに会っての感想だろう?会う前まで、リーシャ、あんたはそう思ってたか?」



びくんと反応したリーシャに「怒ってないから安心しなって」と苦笑するユウヤ。

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