神魔妖幻想曲 ー 斬呪 ー



リーシャが帰った夜のこと。


黒づくめの子供が窓枠に乗って外を見つめていた。

瞳に映るは三日月で。


ーコンコン


「入るよお~、……あ、また部屋散らかしちゃって…。ユウヤーっ!部屋片付けるから手伝ってーっ!」


「おーう、今行く……って、いつも以上に荒れてんなあ、おい」



部屋に入ってくるなり苦笑するユウヤ。

部屋には物が散乱しており、足の踏み場も最早ない。



「………片付けなくてもいい」


「そんなわけにはいかないのーっ、いいからあっちで紅茶飲んで落ち着きなよ、ね?」



背中を押して部屋から追い出すナルミ。

しかし黒づくめの背にユウヤの声がかけられる。



「『今回はこのスタイル』……つまり、あいつらが関係してるってことか?」


「……………さあな」



それだけ言って部屋の扉を閉めた黒づくめ。


その扉の向こうで黒づくめがうずくまり、瞼を伏せていたことを、二人は知らない………



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