神魔妖幻想曲 ー 斬呪 ー
昨日の帰り際、黒づくめの去った後にリーシャは玄関でこれからのことについて二人と話をしていたのだ。
結果、『聞き込み調査と街の様子見を兼ねて、サーカスの前にそちらへ行く』という話になったのだ。
もちろん黒づくめには何の相談もなしに進めたため、ユウヤとナルミはその後、黒づくめに死にたくなるような仕打ちを受けたらしい。
「うっし、そんじゃあリーシャ。手始めに近くの店に入るか」
「ええっ?なんでですか?そこにいる人たちに聞いた方が早いでしょう?」
「ははっ、ま、確かにそうかもな。だけどリーシャ、俺たちは警察じゃないんだ。
あんま目立った行動すると、追々大変なことになるしな」
「な、なるほど……」
そういえばと、リーシャは思い出す。
彼らは巷で有名な【斬呪の忌み子】。
行動許容範囲も狭いのだろう。
「あ、でしたらこの先に隠れ名所があるんです。知る人ぞ知る、だけれどその場所に行くといいことがあると言われているんです。
隠れ名所というよりは、秘密の花園ですかね」
「秘密の花園か……。面白そうだな、よし、二人で行ってみるか」
「えっ?あの、ナルミさん達は……」
「ん?あー……あのコンビは異質だからな。行動が目立つし、せんずは二人で行ったほうがいいだろ?」
「ああ……」
あなたも十分目立ってますけどね、
その容姿で。
そう言いたいのを堪えるリーシャは、「こっちです」と言って秘密の花園へと向かった。