偽善的マンネリズム


ひとりきりになると、ダブルベッドの鎮座する室内には安堵と侘しさが相対した感覚が包む。


地方都市に悠然と建つここは、世界的規模で展開するラグジュアリー・ホテルのひとつ。


この上層階には専属コンシェルジュが常駐しており、親切丁寧に対応してくれる。さらに部屋のダブルベッドは弾力性に優れていてお気に入り。


そんなベッドに液晶テレビ、ソファとサイドテーブルで構成されたシンプルな一室が私の現在地だ。


ここで男女が揃えば、することはひとつだけ。


――セックスするだけならラブホで済ませればって?もちろん私も昔は結構利用してたし、嫌悪など全くしてない。


社会的立場のある男だと安直な場に憚りを持ってしまうのは、無駄な分別だろうか?


しかし、相手がそれに付随して上司となれば、そう易々と“目的の分かる場所”には行かれない。


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