偽善的マンネリズム
シャワールーム内の湿っぽい空気は、さらなる疲労感をこの身に纏わせるだけ。
ナカの疼きはさっきの情事の激しさを物語り、またと求めてしまう中毒性は恐ろしいものだ。
「……この関係、いつまで続くのよ」
熱いシャワーに打たれながら、その場にへたり込む。冷たい床は空虚感を増すばかり。
あの男との関係が始まって、もう1年が経つ。会ったのはそのうち何回だっただろうか。
でも、よく分かってる。私はあの男にとって、“息抜き”ツールのひとつだと。
だから自宅には行かないし、私も彼をプライベートには呼びたくない。
そう割り切っているから、セックスに全身全霊を捧げて集中できたのに。
でも、そんな私ももうすぐ30歳を迎える。社会人になってから本当にあっという間だった。
この頃は後輩や友人たちの結婚式に呼ばれる度、自分は何をしているのかと自問自答をしていた。
私だってそろそろ結婚したいし、綺麗なドレスも着たい。出来れば、子供だって欲しい。ただ、これらにタイム・リミットがあるのは事実で、悠長には構えていられない。
どこにだっている女がぼんやりしていたら、婚期はあっという間に終わってしまうのだ。
「……潮時かぁ」と、あたたかい流水を浴びながら小さく紡いだ答え。
このもやもやした感情に縛られるより、早く離れるべきなのかもしれない。
胸元につけられたキスマークより、紙の証明と未来の誓いを望むなら……。