color ~蒼の色~
急速に仲良くなっていった私たち。

学校では話せなかった私とは裏腹に、堂々と声をかけてきた総二郎。

それをきっかけに、私は学校でも総二郎と一緒にいる時間が増えた。

その反面、嫌な視線も増え、学校でさえも苦痛に思えた。

でもそんなことは全く気にしない総二郎。

だから安心した。

私は内心、お前といるとめんどくさい、って言われるのが怖かったから。


夏休みを目前に控えた、昼休み。

私と総二郎は校舎の壁にもたれ、ボーっとしていた。


「夏休み、何するの?」

「んー…寝る?」

「あのね、そうじゃなくて」

「宿題めんどい」

「一緒にやろうよ」

「ついでに稽古もやっといて」

「それは無理!!」


え~、めんどくさ~い。


そう言った総二郎だったけど、きっと店に来てくれると確信した私は、どうしようもなく夏休みが楽しみだった。


チャイムがなって、そろそろ教室に戻ろうとしたとき、目の前にドサッと何かが落ちてきた。


赤い……私のランドセル。


頭上から聞こえた声。


「“吉野人形”は帰れ!!」


クラスの男子だった。


その頃の私は、相手にはしていなかったが、些細なイジメにあっていた。

さすがにここまでされたのは初めてで、動けなかったのと、その姿を総二郎に見られたことで、どうしようもなく泣きたくなった。


泣くな、自分。


言い聞かせ、無言でランドセルを拾おうとした。

見ないで、総二郎。

こんな情けない自分、見られたくない。
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