color ~蒼の色~
「お前、よく泣くなぁ」

「…………っう」

「人形は泣かねーのに、あいつら馬鹿よなー」

「…………うん」

「お前、全然昼休みこねーから、俺の時間潰しは蟻の行列だったつの」

「…………っ、何それ?」

「蟻んこ数えてた」

「あははっ」


嬉しい、楽しい、総二郎がいる。


「店来いよなー」

「うん」

「顔ぐしゃぐしゃ。これで拭け」


差し出されたのは、給食袋に入っていたナフキン。


「あ、ミートソースついてるけど、気にすんな」


笑いながら、私はミートソースの匂いがするナフキンで顔をぬぐった。


「明日から昼休み行くね」

「うん、こい」


私、総二郎と歩いてる。
一緒に歩けてるんだ。

「それとね、手、ごめん」

「謝るなっつのー」

「うん、でも…」

「あんな、あお。これすげーんだ」


立ち止まって、包帯を見せてきた。


総二郎は、左手で包帯を撫でながら言った。


「これな、あおの色してんだ」
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