color ~蒼の色~
三郎さんに乗り(ちなみに今は4号)、馴染みの駄菓子屋でイチゴのカキ氷を買った。

「今から何する?」

「そだねー、涼しいとこ行きたい」

「涼しいとこって?」

「図書館とか?」

「昼寝するにはもってこいだなー」

「やっぱヤメ」

「寝ないと成長しないって知ってるか?」

寝てばっかのくせに。


あーでもないこーでもないと、駄菓子屋前で口論していたら、声をかけられた。


「おーい、総二郎!」

「あ、優太」

「と、吉野さん」


平井 優太。
小学四年のあのとき、総二郎に呼ばれた“ゆーた君”。
実は総二郎のところの道場に習いにきていると、後から聞いた。


「…………どーも」

私は顔見知りなだけで、この人見るとあの頃を嫌でも思い出すから、出来れば話しかけてほしくなかったけど……

「今日もあっちーな!」

この人、そんなこと気にしてないのかもしれない。

「今日、道場いかねーの?」

「行かねー。誰かサンはぶち込もうとしてたけど」

「あんたが悪いんでしょ!?」

平井君は笑い、

「吉野おもれー!思ってたのとキャラちげぇ!もっとおっかねー奴かと思ってた!」

「そーよ、お前は知らないだろう、こいつは鬼ババァの手先になったのダ」

「まだ言うか!」


平井君はそんなやりとりを聞きながら、ずっと笑っていた。
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