color ~蒼の色~
買ってきたメロンのカキ氷を食べながら、平井君も並んで座った。

「そーいやお前ら、花火大会行く?」

「暑い、人多い、眠い、めんどくさい」

「私、店の手伝いあるから」


おもしろくねー!と平井君は言った。

そういえば毎年、私は家の中で花火の音を聞いていた。
地元なのに、一回も行ったことないんだった。

別段、行きたいとも思わないし、何より同級生に会うのもなんだか気が引ける。

ため息混じりに、イチゴのカキ氷をザクザク掘っていると、


「総二郎、今年のお前はそんなわけにもいかねーだろ」

「なんで?」

平井君はニヤニヤしながら、総二郎の肩を叩いた。


「みねさんだよ、峰さん!」

「ミネサン…?」

誰だろう、峰さんって。


「お前、告白されてたの、俺は知っている!!」

「…………えー?…あぁ、あれかー」


え、ちょっと。
ちょっと待って。

「で?返事したの?」

「いや、まだ」

「だったらはやく稽古出てこい!」

「やだ、めんどい」


二人のやり取りを、隣でぼんやり聞いていた。


こくはく…告白…告白ってつまりは…。


「総二郎、告白されたの?」

「吉野、おっせぇ!!」


私が持っていたカキ氷を取り上げながら、総二郎は言った。


「うん、されたねー」
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