color ~蒼の色~
「青春とか、わからない」

そう呟けば、それまで黙っていた総二郎が、
「俺も、わかんなーい」
と、ボーっとした顔で言った。

「ほんっとお前ら、つまんねー…」

呆れ顔で平井君は言った。


「私、そろそろ開店準備手伝わないと」

「あー…、俺も帰って寝るかなー」

「お前!さっさと返事してやれよな!幼馴染みとばっかいたら、しまいに誤解されるぞ!」


「へーい」と軽く手をあげ、総二郎は私が後ろに座るのを確認すると、自転車をこぎ出した。


……………誤解かぁ。


総二郎、なんて返事するんだろう?
どう思ってるんだろう。
花火大会行くのかな?


あ、まただ。
なんかモヤモヤする。

総二郎は何も言わないし、私も何も聞かなかった。
ただ無言のまま自転車は走り続けた。

もし総二郎に彼女が出来たら…。
そんなこと考えたこともなかった。


そうなったら、きっと今までみたいには遊べないよなぁ、きっと。

このモヤモヤは、きっとそんな日が来ることを思っての、寂しさから来るんだろうな。

私はただ、総二郎の背中に額をつけ、そんなことを考えていた。
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