color ~蒼の色~
次の日目が覚めたら、太陽はすっかり頂点に君臨していた。

(うわ、寝過ごした)

昨日は眠れず、明け方まで宿題で気を紛らわせた結果、普段の私なら滅多にない寝坊という事態にみまわれた。

総二郎はもう来てるかな。

(あっついなー、もう)

私は店に電話をしようと、ベッドから、目覚めきってない身体を無理矢理起こした。

何度目かの呼び出し音の後、聞きなれた声がした。


『もしもし、よしのです』

「あれ?総二郎。ごめん、今起きた。父さんは?」

『あれ?じゃねーだろ。おやっさん、買出し行った』

しまった、お留守番させられてるんだ。
あまり感情が読み取れない総二郎の声だが、楽しい気分でないことぐらいわかる。

「カキ氷奢るから待ってて、すぐ行く」

それだけ言い切り、返事も聞かずに受話器を置いた。


ジワジワ鳴き続ける蝉の声を聞いていると、天気予報の“猛暑日が続くでしょう”と言う、アナウンサーの顔をなんとなく思い出した。

黄色のキャミソールに、ブルージーンズのショートパンツ。
長い髪を1つに束ね、髪留めで一気にとめた。

(よし、これでいいや)

少し寄り道をし、お詫びのカキ氷を買いに、いつもの駄菓子屋に寄った。

「おじさん、レモン1つ」

「あいよ」

「ごめん、やっぱりふたつ」


いつもは半分こなのに、なぜか半分こにする気分にはなれなかった。

冷えたカップを両手に持ち、私は店までの道、それを落とさないように早足で歩いた。
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