color ~蒼の色~
俺と、半分こ。
俺と、半分こ。

何度も反芻しながら、私は歩いていた。

花火大会終わったら、総二郎来てくれるんだ。

私はそれがどうしようもなく嬉しくて、胸のドキドキが止まらなかった。
(きっと私の顔、真っ赤だ…)
そんな私に、総二郎は気づいただろうか。
だとしたら、次は平然としていられるかな。

店までの道、私はふわふわと浮いたような気持ちのまま、さっきの言葉を思い出していた。

総二郎が来るまで、店にいさせてもらおう。

店の前まで戻り、高ぶる気持ちを抑えるように、ひとつ深呼吸して扉を開けた。


「ただいま」

「あ、蒼…」

もうすぐ開店する父の店に、そぐわぬ“もの”がそこにはあった。


しばらく誰も何も言わなかったが、私は自らその沈黙を破った。


「なんでいるの?お母さん」


母さんはガサッと持っていた紙袋を、私の前に置いた。

「何これ?」

「残りは取りにきなさい」

なんのこと?


母の冷えた目が、私を見ていった。


「離婚するから、あんたの荷物、なるべく早く取りにきなさい」


私は持っていた買出しの荷物を置き、紙袋の中を確かめた。

数日分ほどの、下着や洋服。
入っていたのは、たったのそれだけ。


(あぁ、私に出て行けってことか…)
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