color ~蒼の色~
「総二郎のあほーっっ!!」

女子はもちろん、ありったけ罵って帰っていった。
まだ花火も始まっていないのに、全てが終わってしまった。

「失礼なー」

「お前!なんつーこと言うんだ!他に言い様あるだろーが!」

「うーん…そうね~…」

俺たちは、花火どころの話ではなく、花火見物客とは反対方向に、流れに逆らって帰路についていた。

りんご飴片手に、ボーっと前を見ながら、総二郎は言った。

「そうだなー…。目がついてて、鼻の穴がふたつあって…」

「はぁ?」

「耳がついてたな」

「はぁ!?」

何言ってるんだこいつ!?

「お前、大丈夫?」

主に頭が…。
心配なってきた。

そうしたら言うんだ、こいつ。


「どいつもそんな変わんねーだろー、色のないヒト科」

「…………わりぃ、全然わかんねぇ」

「そぉか~??」

さすが変人。
俺にとっちゃ宇宙語だ。


ため息つきながら、俺はこいつの意味わからない言葉を考え続けた。


しばらく歩いていたら、急に総二郎が立ち止まった。

「なんだよ、急に!」

せめて地球にいる間は、地球人らしくしてほしい、こいつ。


しばらくじっと何かを見つめたまま、一向に動こうとしないので、思わず俺も視線を追った。
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