color ~蒼の色~
「蒼ちゃんは、そんなこととは無縁な人だと思ってた。クールで、姉御肌みたいな…」

「…ぷっ」

笑い出した総二郎に、呆気にとられてるまどか。

「私、そんな風に見えてたの!?」

「…え?うん」

「人の第一印象って、わかんねーもんだなぁ、…ははっ」

「笑うな!」

そんな風に思われていたなんて、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、なんて言えばいいのかわからなくなった。

「この人、全然クールじゃねぇよ?」

「だって、背も高いしキレイだし、強そうだし…」

いよいよ笑いの止まらなくなった総二郎の背中を、おもいっきりひっぱたいた。

「違うの!背ばっか大きくなって、別に強いとかでもなくて!」

「あはははっ!自分で言ってら!」

私と総二郎のやりとりを見て、呆気にとられていたまどかも、おなかを抱えて笑い出した。


肩で息をしながら、指で自分の涙を拭ったまどかは、ひとつ大きく深呼吸し、私に言った。


「気づいてると思うけど、私、いじめられてる。どうしていいかわからないし、ずっと一人だったし…。でも、蒼ちゃんが…」

そこまで言うと、しばらくうつむいて、ぐっと涙をこらえてるのがわかった。

「蒼ちゃんが…っ、いてくれるから…、大丈夫!私、負けないから…っ」

ぽろぽろと涙を流すまどかの手を、ぎゅっと強く握った。

「うん、まどか。私、まどかの“友達”になりたい。初めての“女友達”になってくれる?」

まどかは私の手をしっかり握り返し、泣いてぐしゃぐしゃの顔で、何度もうなづいた。
ありがとう、ありがとう。
お互い、何度もそう言った。

私まで泣いてしまい、思わず笑ってしまった。
そんな私たちの頭を撫でながら、総二郎は笑っていた。

時間なんてあっという間に経ち、まどかを駅まで送っていった。
何度も振り返って手を振るまどかに、私も何度も手を振った。

まどかの乗った電車を見送ったあと、総二郎と帰り道を歩いた。
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