color ~蒼の色~
ぶつかりそうになりながら走り続け、総二郎の前に着いた頃には、二人して膝に手を置いて、全身で息をする始末だった。

「どしたの、二人共」

突然走ってきた私達に、多少びっくりしたのだろう。
総二郎は私達の疲労ぶりを、訝しげに見ていた。

「あー…やっちゃったかな?」

「何を?」

「えっと…話す前に…お茶飲んでいい?」

息が上がりっぱなしで、落ち着かす為にも、グッとお茶を飲んだ。

「あ…蒼ちゃんっ」

「なに?まどか」

「あ…あんなことしたらっ…、今度は蒼ちゃんまでっ」

今にも泣きそうに、まどかは私に言った。

「だから、何があったのかって話。俺だけ仲間外れですか?お二人さん」

呼吸を整え、総二郎にも事の経緯を話した。

「なるほどねー。また大胆なことしたもんだね~」

「ほんと、自分でもビックリ…」

「蒼ちゃんっ、わたしっ、ごめん!」

「だから、謝んなくていいんだってば!」

本当に、謝られても困ってしまう。
私がそうしたくて起こした行動なんだから。

私はまどかを抱き寄せて、頭を撫でた。
大事な大事な、私の友達。

まどかは泣き出してしまったけれど、これから何度だって、同じこと言うんだ。
負けないように、泣かなくていいように、強くなっていくんだから。

「ね、まどか。しばらく一人になっちゃダメだからね。絶対気をつけてね」

「うん。でも蒼ちゃんも気をつけてね」

「大丈夫!」

にっこり笑って言えた。
私は大丈夫。
絶対負けたりしない。

「ま、俺もいるしねぇ。西尾さえ良ければ、念のため、男手用意するけど?」

「男手?」

にーんまりと笑って、総二郎は言った。
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