ロックンロールバンド
薄汚い楽屋にて

楽屋と言っても小さなライブハウスの薄汚い楽屋だ。



十畳を少し越えるくらいの広さに今夜出るバンドのメンバー三組が、入れられている。


一組は、メインで器材だけ置いて外に出ていた。


残っているのは、俺達三人ともう一組の四人だけだった。


俺達のうち二人は古い椅子に座りもう一人は、近くにあったビールケースに座っていた。


天井を見るとまるで抽象画のような染みが広がっていて、何かのパイプがあちこちに無造作に張り巡らしてある。


時々そのパイプから水が漏れている


小さなテープルの上に空き缶を置いて俺は煙草を吸っていた。


ビールケースに座っているバンドのドラマーの南は、マリファナを吸って気分をハイにしているようだった。


南は、良いドラマーだが普段はマリファナではなく、ハードドラッグにはまっていた。


もう、そろそろ辞めてもらうしかないと俺は思っていたし、隣に座る長年の相棒のギタリストの 金川も同じ考えだった。


金川は、ピーコートの中からワンカップを出して開けると一息に飲んだ。


「おい。お前一人でそりゃないだろう。」


俺は、金川に抗議する。

寒いのだ。


俺は、Tシャツの上に革ジャンを着ていたが寒かった。


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