ロックンロールバンド
「なめてんのか!?」
後ろでギターを持って床に座っていた若い男が立ち上がって吠えた。
なめている事に気付いたらしい。
なかなか優秀なので思わず拍手したくなった。
その男の持つギターはギブソンだった。
金川のギターは古いどこのメーカーかさえも忘れた安物だった。
若い連中は、俺達の態度に頭に来てるようで皆が立ち上がった。
後ろでなめてるに決まってるよとクスクス笑いながら南が言う。
マリファナで、おかしさが倍増してる。
「まあ、悪いな。緊張してんだよ。勘弁してくれよ。」
俺は、おかしさを我慢して若い連中を制したが、にやにや笑いが止まらなかった。
にやにや笑いに、若い四人は更に腹が立ったようだった。
金川が、立ち上がって若いギタリストの所に行くと持っていたギブソンを取り上げてそのまま頭に振り下ろした。
ギブソンが、鈍い音ともに折れた。
男は頭を押さえてのたうち回った。
俺は、テープルの上に上がってタトウーの男の顔面を蹴りあげた。
他の二人は俺達の素早い行動に驚いていた。
「なあ、帰れよ。お前達の穴埋めしてやるよ。」
俺は、煙草に火を点けながら覚めた声で言った。
若い四人は慌てて器材をまとめて部屋を出ようとした。
「スィートリトルシックスティーンは、チャックベリーだよー。」
南が出て行こうとする連中の背中に向かって笑いながら叫んだ。