君の笑顔と青空と
第1章 風鈴の音



7月12日。



暑い日射しが差し込む中、窓枠に吊るした風鈴が鳴った。



透明な風鈴の表面には数匹の金魚が優雅に泳いでいる。



真っ白な扇風機に長時間当たっているより余程いい。



私はいつも風鈴の音に癒されている。



最近、朝の目覚めが良いのもこれのおかげかも。



「菜緒、夏休みはいつから?」



「22日」



丁度良く小麦色に焼けた食パンをかじりながら、キッチンで洗い物をする母さんに言った。



――作倉七緒。純真で真面目な母の名前から捩って、私は『菜緒』と名付けられたみたい。



小さい頃からのお気に入り。



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