君の笑顔と青空と
家を出て数分、いつもの大木の下にヘッドホンを掛けた男の子が見えてきた。
「森口ーっ」
大きな声で名前を呼ぶけど、携帯を弄る森口の耳にはヘッドホン。
どうやら聞こえてないよう。
私は小さなため息をつくと、森口目掛けて突進した。
「うわっ!!」
頭がちょうど森口の二の腕にぶつかって、頭にズキッと痛みが走る。
「痛ったぁ…――」
「な、なんや作倉かいな」
森口は驚きを隠せない様子。
ヘッドホンを肩に下ろし、頭を押さえる私を見つめてくる。
恨みがあるわけではないけど、ちょっとした悪戯をしてみたくなった。
「森口、携帯没収っ」
「は?おい!」
携帯をヘッドホンのコードから外し奪うと、森口は何やねんお前、と皮肉気な目を向けてくる。