君の笑顔と青空と



増井は普段の少しクセのある短い黒髪を更に短くし、前髪は完全に眉毛を隠していない。



ほんの一瞬、目を丸くしてしまう程驚いた。



景谷は相変わらず素っ気ない返事を、頬杖をついて返してくる。



くっきりと線の折り込まれた大きな目と、童顔で明るい茶色の髪が地毛という珍しい特徴を持った景谷は一部の女子に人気があるようで。



無愛想な対応を覗けば、更に人気が上がるような気もするのに……という私の考えはいつも空回り。



それが景谷なのかな。



梨子は癖でくるくると巻かれた毛先を指で弄っている。



丁度いい明るさの茶髪は高校デビューとして染めたらしい。



本校の規則は髪については至って自由で、虹色に染められた鮮やかな髪でもない限り指導になることは滅多にない。



梨子はそれを利用した。



でも、彼女は髪を染めてサイドの髪をコテで巻いただけでギャルのように盛ったり派手なヘアにはしていない。



だから顔立ちの可愛らしい梨子は男子に人気だ。



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