永遠の幸せを
「…病院を取り壊された日のコトは今でも憶えている…」



俺と潤子は桐生建設の下請け会社が病院を取り壊すのを遠くで見ていた。



病院の周りに張り巡らされた高い壁とシート。


病院の脇には住んでいた邸宅もあった。


桐生建設によって病院と家族4人が生活していた痕跡をすべて…消されてしまった。



俺たちは共に涙した…




確かに俺は桐生建設を桐生家を恨んでいた…



でも、俺にはもう過去の話…




「美紅には何の罪もない。潤子…前向きに新と人生を歩めよ」



「…兄貴は傲慢なところあるけど…根は優しいもんね…私は認めない!」


潤子は俺の言葉を訊き入れようとはしなかった。


説得したいが…時間もない。



潤子は俺に新を任せて、マンションに帰っていった。









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