永遠の幸せを
黒髪に混じったシルバーグレー。


昔と変わらない端正な顔立ちで健在で、オバサマたちには大人気だった。



「もう少し…声を小さくした方が…」



「あ・・・わかってる」



お父さんの耳をつんざく大きな声とキレっぽい性格も変わらない。



「…まぁ、いい…でも、向こうは真剣だ。ちゃんと真面目に考えてくれ」



「わかったわ」



私は目の前のワイングラスに手を伸ばした。



肉料理に合う少し辛口の赤ワイン。


喉に通した途端、噎せてしまった。



「大丈夫?美紅」


「うん・・・」


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