3秒小説
ろっぴゃくろくじゅうなな


電車の向かいの席に、スーツを着た男が、頭を抱えて座っていた。


「頭痛えなあ。くそ、頭痛えよ」


と、何度もつぶやいていた。


駅に着くと、男は絶叫しながら、自分の頭をもぎ取り、床にたたきつけた。


頭を失った男の体は、すっきりとしたような、軽やかな足取りで、電車を降りた。



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