ヤンキー君と異世界に行く。【完】
立って作業をしていた白衣の男は、仁菜の頭をなで、ベッド脇のイスに座る。
その姿を見て、仁菜は絶句した。
(お医者さん……?
っぽいけど、なんかヘン!!)
白衣の男は、普通と少し違った。
白くも黒くもない肌は、自分と一緒だが、その髪は深い緑色をしていた。
まるで、昔のV系バンドのおっかけのような。
そして、細められて糸状になった目の奥には、髪と同じ緑の瞳が見える。
おまけに、その白衣の袖や襟、裾に、緑色の糸でよくわからない刺繍がほどこされている。
(な、何人!?)
メガネをかけたその男は、何かを手元のタブレット端末に入力しているようだ。
その間も、仁菜は観察を続ける。
そういえば、外国人っぽい。
整っているけれど、それほど彫りの深くない顔立ちは、日本人っぽいけど。
言葉も、日本語っぽいけど、少し響きが違う。
中国語っぽい響きが混じっているみたいだ。
「よし。じゃ、胸の計器、取りますねー」
「ひえっ!!」
仁菜の戸惑いも知らず、白衣の男の手がシーツにもぐり、彼女の裸の胸に伸びる。