ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「っていうかさ、なんで昨日泉に飛び込んだりしたの?」
「あ?そりゃーあれだ、アレクの元カノに直談判しにだよ」
「直談判って……」
「アレクはお前のことバリバリ愛してるから、呪うのやめて剣をくれって」
「……ぶっ」
仁菜は思わず吹き出す。
バリバリ愛してるって。なにそれすごい。聞いたことない。さすが颯だ。
「でもさ、飛び込んだあとで気づいたんだ。
水の中じゃ、会話できねーのよ」
「当たり前じゃん!バカでしょ!」
「ちっ、うっせーな!笑うんじゃねー!」
颯は笑う仁菜にヘッドロックをかける。
周りはそれを見て、微笑んだ。
「では失礼するか」
シリウスの呼びかけに、仲間がうなずく。
「何かあったときは、声をかけるがいい。
戦力を整えておこう」
セードリク王の言葉に、ラスは「ありがとうございます!」と満面の笑みで答える。
「異世界の少年よ、この贈り物に感謝するぞ」
「いーよいーよ、気に入ってもらえて何よりだ!アイラブニュージーランド!」
「アイラブ……?」
「それに書いてある、友好の言葉だよ!」
「なるほど……!」
セードリク王はうんうんとうなずく。
そして、笑いをこらえている仁菜に向かった。
「異世界の少女よ」
「はっ、はい!」
「そなたには、これを贈ろう」
セードリク王が合図をすると、侍従たちが何かを運んできた。
それは、重たそうな盾だった。