ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「そなたたちは攻撃に長けているようだが、守りは薄い。
この盾を役立てるがいい」
って、言われても……
仁菜はその盾を受け取る。
「……軽い……」
「精霊族にしか作れない、軽くて丈夫な金属を使用している。
あとは他の武器や防具と同じ。
使いながら慣れてくれ」
「ひょ、ひょええ~……どうもありがとうございます……」
仁菜はピンク色の宝石がついたネックレスを同時にもらい、そこに盾を収納した。
(うわー、ゲームみたい。
あたしこれ、ちゃんと使えるかなあ……)
仁菜の不安をよそに、一行は王に別れを告げ、バイクを置いてきた砂漠の真ん中へと向かう。
谷を出る直前、
「アイラブニュージーランド!」
と、友好の言葉を叫ぶセードリク王の声が聞こえ、仁菜はこらえられず、爆笑した。
「まったく、ハヤテもニーナも無茶するなあ」
砂漠に出てマントを被りながら、ラスが呆れたように言った。
「でも、無事で良かったです」
「我々の傷も、浅くて済んだしな」
カミーユとシリウスが、眩しそうな目をし、砂漠の向こうを見つめる。
そして……
「……剣を得ることができたのは、お前のおかげだな」
アレクが、仁菜にために日陰を作りながら、にこりと笑いかけた。
とても優しい、穏やかな瞳で。
「そんな……あたし、見てただけだし」
「いや、そんなことはない。
お前が言ってくれなければ、俺はエルミナに想いを伝えることはできなかった。
彼女を悲しみに沈めたままだっただろう」