ヤンキー君と異世界に行く。【完】
そして……
『砂漠の民』の集落に向かう一行。
元はランドミルの国民だった彼らは、王族を憎み、砂漠で自分たちの集落を築いた。
そんな簡単な情報しか与えられなかった仁菜。
彼女は今制服ではなく、精霊の谷で寝間着としてもらった、緑色のワンピースを着ていた。
他の仲間も、それぞれ軍服や白衣を脱ぎ、メイドイン精霊の谷のふんわりとしたローブで、ランドミルらしさを隠していた。
もちろん颯も特攻服を脱ぎ、彼等に習う。
……そして、仁菜の横を歩くのは……
「……くはぁ!」
「もー、こっちを見るたびその反応、やめてくれる?」
ぷうと膨れたのは、仁菜が贈られた精霊族のドレスを着て、金長髪のウイッグを着用し、軽く化粧をほどこされた……
めちゃくちゃ可愛い、女装したラスだった。
「だって、可愛いんだもん!
こんな可愛い生き物、初めて見たんだもん!」
女の子として複雑……というより、萌えて萌えてしょうがない仁菜。
ちなみにウイッグや化粧品は、携帯住居の中にあったらしい。
こんなこともあろうかと、シリウスが突っ込んでおいたそうだ。
「うんまーね、俺が可愛いのは認める。
でも、ニーナの方が可愛いよ」
「ないない!
ランドミルは女の子が少ないから、そう思うだけだよ」
仁菜は笑って否定した。
自分が破滅的に不細工とは思わないけど、すごく普通だと認識している仁菜。
(あたしが王子様より可愛いわけないじゃん)
しかし……。