ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「ハヤテ、心配してたね。
いくらなんでも、こんなところで結婚前の女の子をどうにかするなんてこと、ありえないのにね」
そう?ランドミルでは女の子が貴重だから、そうなのかも。
自分たちの世界なら、付き合ってなくてもこの状況はだいぶ危険だよ。
そう思ったけど、仁菜は黙ってうなずく。
「ハヤテとニーナは、こっちに来る前から知り合いだったんだよね?」
「一応、幼なじみ。今は仲良くないけど、昔はよく一緒に遊んだの」
ぼんやりと、当時のことを思い出す。
颯兄ちゃんは、あたしのヒーローだった。
なのに、いつのまにかあんな残念なダサヤンキーになっちゃったんだ。
「そうなんだ」
「ラスさんには、幼なじみいる?」
「ラスでいいよ」
ラスは笑うと、ニーナの質問に答える。
「幼なじみはいないけど、シリウスが似たようなものかな」
「シリウスさんが?」
「シリウスは、俺が物心ついた時にはもう一緒にいたんだ」
仁菜の頭に、3歳くらいのラスと、小6くらいのシリウスが並んだ。
もちろん想像でしかないけど、二人ともそうとう可愛い。