ヤンキー君と異世界に行く。【完】


「ハヤテ、心配してたね。
いくらなんでも、こんなところで結婚前の女の子をどうにかするなんてこと、ありえないのにね」


そう?ランドミルでは女の子が貴重だから、そうなのかも。


自分たちの世界なら、付き合ってなくてもこの状況はだいぶ危険だよ。


そう思ったけど、仁菜は黙ってうなずく。


「ハヤテとニーナは、こっちに来る前から知り合いだったんだよね?」


「一応、幼なじみ。今は仲良くないけど、昔はよく一緒に遊んだの」


ぼんやりと、当時のことを思い出す。


颯兄ちゃんは、あたしのヒーローだった。


なのに、いつのまにかあんな残念なダサヤンキーになっちゃったんだ。


「そうなんだ」


「ラスさんには、幼なじみいる?」


「ラスでいいよ」


ラスは笑うと、ニーナの質問に答える。


「幼なじみはいないけど、シリウスが似たようなものかな」


「シリウスさんが?」

「シリウスは、俺が物心ついた時にはもう一緒にいたんだ」


仁菜の頭に、3歳くらいのラスと、小6くらいのシリウスが並んだ。


もちろん想像でしかないけど、二人ともそうとう可愛い。


< 129 / 429 >

この作品をシェア

pagetop