ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「俺はシリウスに育ててもらったようなもんだから。
乳母もいたけど、教育方面は全部、シリウスが背負ってたかな。
勉強も武術も、シリウスが教えてくれた」
へえ、と仁菜は関心する。
シリウスだってまだ若いのに、王子の教育を任されるなんて大変だっただろうな。
手塩にかけた王子なら、あれだけ大事にするのもうなずける。
ちょっと腐女子な想像をしてごめんなさい。
仁菜は心の中で謝った。
「母上にさえいらないって言われた俺を大事にしてくれたのは、シリウスだけ」
……え?
突然の衝撃的な言葉に、仁菜は目を丸くする。
お母さんに?いらないって言われた?
「お嬢様方、お食事の準備が整いました」
タイミングよく、と言うべきか、脱衣所から声がした。