ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「ちょっと、ダイエットしようかな……」
「は?なんで?」
「うるさいなあ、颯には関係ないじゃん」
「やめとけダイエットなんて。
減るのは胸から、増えるのは腹からって、うちのババアが言ってたぞ」
うちのババアというのは、颯の母のことだろう。
そういえば、もう何年も話してないな。
颯に似て、面白いお母さんだった。
颯と疎遠になると同時に、お母さんとも話さなくなってしまったんだ。
「そんなことしなくても、お前はじゅうぶん」
ぼそりと、颯が言った。
じゅうぶん?じゅうぶん、なんなの?
聞こうと思ったところへ、横やりが入った。
「旅のお方……食事は口に合いますかな?」
長老だ。
「ええ、美味しくいただいております。
お風呂もとても気持ち良くて……天国みたいですわ」
ラスが化粧を施した顔で極上に微笑むと、長老はとても嬉しそうな顔をした。
その横の、孫も。
「そうですか。ところであなたたちは、東方の国から来られたと聞きましたが、ランドミルとは関係ないのでしょうな?」