ヤンキー君と異世界に行く。【完】
ラスはちっと舌打ちをして、手で化粧をぬぐう。
(ひえええ、バレた~!!)
仁菜は颯とアレクの後ろで、ひたすらじっとしているしかない。
彼らの背中に緊張が走るのが、わかった。
「じゃあ、最後まで騙されてくれりゃあ良かったのに。
いったい誰がどうやって俺の正体を見抜いたわけ?」
ラスが言うと、長老が杖で差したのは……カミーユ。
「その男に見覚えがあると思ったのじゃ。
おぬしは、代々王家に仕える技術者たちの一族の中でも、最も呪われた研究をしていた一家の孫であろう!?」
長老の叫び声に、ハッとした。
最も呪われた研究……
『すみません。研究の話は、ここではできない』
カミーユはそう言ったときとは違う、不敵な笑いを浮かべていた。
「……さあ、なんのことでしょう」