ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「やめてってばーっ!」
仁菜の大声が、空に響いた。
すると、その胸にかけてあったピンクの石が光る。
(精霊族の盾……っ?)
現れた銀色の盾は仁菜の手に収まりはしなかった。
それは巨大な壁となって、敵の前に立ちふさがり、勢いよく近づいてきていた彼らをはじきかえした。
ぺいーん。
そんな音を立てて、砂漠の民たちが跳ね返され、転ぶ。
かれらはそのまま、眠ったように動かなくなった。
長老や孫が、ぽかんとした顔でそれを眺めている。
「な、なにこれ……」
「すごい。ニーナ、精霊族の盾をなんとなくで操ってる」
ほんとだ。ラスの言う通り。
仁菜の思う通りに、盾は敵を傷つけずに、仲間を守ってくれた。
「今のうちだ!逃げろ!」
シリウスの声で、一行は直ったばかりのバイクにまたがり、オアシスをあとにした。