ヤンキー君と異世界に行く。【完】
・笑顔の裏側
少し離れたところで、彼らは携帯住居に隠れた。
日が暮れてきてしまったからだ。
もちろんライトをつけて走ることだって異世界バイクには簡単なのだけど、そうすると魔族にも砂漠の民にも見つかりやすくなる。
「はあ……危なかったな」
颯が腰を下ろす。
今回は仁菜も、颯たちと同じ部屋にいた。
一人でいたくなかったから。
(アレクさんのときみたいに、自分だけ途中まで何も知らないなんて、嫌だ)
カミーユのことについて、ちゃんと知っておきたいと思ってる。
(あたしだって、仲間だもん)
それに、仁菜は仲間たちを信用していた。
彼らは女の子がひとりだからって、変なことをするような人たちじゃない。
「シリウス、寒いよ」
上半身裸のラスが、シリウスに寄り添う。
砂漠での夜は寒いから……。
(って、だからあんたたちねえ!)
ラブラブすぎるんじゃない?あたしだって、おへそが出てて寒いんだけど。
呆れる仁菜は冷たい目で彼らをながめた。
でもどこかでやはり、萌えていた。