ヤンキー君と異世界に行く。【完】
携帯食を食べながら、カミーユが一行に頭を下げた。
「すみません、僕のせいでバレてしまったみたいで」
緑の髪はランドミルでも珍しいんだよね。とラスが言う。
「いや、私もうかつだった。
ラス様さえごまかせれば、なんとかなると思っていた」
シリウスが珍しく、他人をフォローする。
「カミーユは何も悪くない」
アレクは相変わらず優しい。
カミーユは泣き顔のような笑顔で、みんなに笑いかけた。
「ハヤテにニーナ、意味がわかりませんでしたよね。
ちゃんと説明しますから」
カミーユはぼそぼそと、話し始める。
「あの長老の言う通り、僕の祖父母は人工の子宮……愛称を『女神』といいます。
それを作り、女児を増やす研究をしていました」
そうしなければならないくらい、当時から人口の減少に危機感があったランドミル。
神に逆らう所業だとは知りつつ、彼らは研究を重ねた。
「でも、なかなか成果は上がらなかったんです。
それどころか、無事に生まれることができたかもしれない命を、大量に奪ってしまった」
培養を続けるうち、もとの受精卵も傷ついて、使えなくなってしまったらしい。